【9月4日 AFP】2000年代初頭に表面化した牛海綿状脳症(BSE)問題を受けて導入された、家畜に肉骨粉などの動物性加工たんぱく質(PAP)を与えることを禁止する措置を、欧州連合(EU)は今月6日、一部解除する。

 EUは2001年に家畜や養殖魚の餌にPAPを使用することを完全に禁止したが、今年5月、アイルランドとフランスを除く加盟国は、豚と家禽(かきん)の餌にPAPの使用を認める規制改革案に賛成票を投じた。養殖魚への使用は、2013年に解禁されている。

 BSEは、死んだ動物やBSEに感染した動物の肉骨粉を餌として牛に与えたことで広がった。また、変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を発症して人が死亡したケースでは、感染牛の肉を食べたことが原因だと考えられている。

 牛、ヤギ、羊などの反すう動物の餌へのPAPの使用を制限する措置は当面継続されるものの、豚と家禽に対する制限が解除されることにより、EUの農家は安価な動物性たんぱく質を再び使用できるようになる。

 しかし、一部の加盟国ではEU基準の適用が緩いため、豚の肉骨粉が豚の飼料に混入する「共食い」も起こり得るのではないかと懸念されている。

 フランスの中小規模の農家が加盟し、工業的な畜産に反対する団体「コンフェデラシオン・ペイザンヌ(Confederation Paysanne)」は、一部の動物飼料へのPAPの使用制限解除によって不正行為がはびこるようになると主張する。

 同団体スポークスマンのニコラ・ジロ(Nicolas Girod)氏は、手っ取り早く利益を得ようとする企業への規制がないがしろにされかねないと指摘し、「BSEを引き起こしたのは利益と生産量、生産性の追求だった」と強調した。(c)AFP/Myriam Lemetayer