【9月4日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は3日、ハンガリーで行われたW杯カタール大会(2022 World Cup)欧州予選でイングランドの選手を標的とした人種差別行為があったとして、懲戒手続きを開始したと発表した。英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は「全く受け入れられない」と述べている。

 2日にブダペストのプスカシュ・アレーナ(Puskas Arena)で行われた試合では、イングランドのラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)とこの日は出場機会がなかったジュード・ベリンガム(Jude Bellingham)にモンキーチャント(猿の鳴きまね)が浴びせられた。試合は欧州選手権(UEFA Euro 2020)準優勝のイングランドが4-0で勝利した。

 イングランドはマンチェスター・シティ(Manchester City)に所属するFWスターリングの先制点後も得点を積み上げて快勝したが、黒人選手に対する人種差別行為に水を差された。また、敵意に満ちたホームの観客は、ピッチに発煙筒やさまざまなものを投げ入れた。

 ジョンソン首相はツイッター(Twitter)で人種差別行為を非難し、「この手の恥ずべき行為がサッカーから確実に根絶されるよう、責任者が強力な行動を取るようFIFAに要請している」と投稿した。

 これに対しハンガリーサッカー界の上層部は「大多数」のファンを強く擁護。また、シーヤールトー・ペーテル(Peter Szijjarto)外務貿易相はロンドンのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われた欧州選手権決勝でのブーイングや観客トラブルを引き合いに出し、「偽善」だとジョンソン首相に警告した。

 シーヤールトー氏は自身のフェイスブック(Facebook)を更新し、「欧州選手権の決勝でイングランドのファンがイタリア人にどのように振る舞ったか誰もが目撃した」とつづった。「試合後の侮辱行為は言うまでもないが、イングランドファンのブーイングのせいでイタリア国歌を聞くことすらできなかった。スポーツにも政治にも偽善の居場所はない」 (c)AFP/John WEAVER