「完全な失敗」 9.11から20年、対テロ戦争が残したもの
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■変化する優先課題
一方で、西側諸国の状況も変わった。
2001年には米国と同盟国にとっての最優先課題がテロ対策であることは明らかだったが、その後イラン、ロシア、そしてとりわけ中国との緊張が高まった。
CSISのジョーンズ氏は、「米国は優先課題をテロ対策から、まずは中国、それからロシア、イランへの対応へと変化させた」と説明する。「米国の情報コミュニティー(諸情報機関の総称)では、アルカイダとISを対象に情報収集と攻撃を行うテロ対策の縮小を継続すべきかどうかについて、議論が巻き起こっている」
アルカイダもISも、近い将来において、2015年11月13日にパリで発生しISが犯行声明を出した同時襲撃のような事件を起こす力は持っていないかもしれない。
だが、いわゆる「ローンウルフ(一匹おおかみ)」などの孤立した過激派による襲撃は起きており、警察や情報機関が対応を強いられている。こうした襲撃犯の多くは事件が起きた国の出身で、インターネット上の過激思想に傾倒し、ジハード主義組織の名の下に刃物や銃、車で無差別殺人をする。
今後の脅威は、中東の状況に触発されたイスラム過激派だけではないかもしれない。西側諸国にしか目を向けない極右勢力や白人至上主義者が脅威となる恐れもある。
モガダム氏は、「米国にとって極右過激派への対応はさらに大きな課題になっていくとみられる。極右過激派は一部で強い支持を得ているからだ」と指摘する。「西側諸国には、こうした思想をある程度受け入れ、共感する人々がいる」 (c)AFP/Didier LAURAS
