■「脅威は変質した」

 米同時多発攻撃が起きた頃は、イスラム過激派のテロ組織と言えばビンラディン容疑者のカリスマ的な指導力の下にあるアルカイダがほぼ唯一の存在だったが、その後ISが出現し、ISやアルカイダへの忠誠を表明する武装勢力が増えた結果、脅威の性質は変容した。

 ジハード主義者による脅威の地理的な分布も変化した。かつては中東に限定されていたが、今やアフリカ全域、アラブ世界の大半、南アジア、東南アジアにも広がっている。

 ジハード主義組織間の結び付きは緩く、組織内の指導部と構成員の間の関係も弱い。さらに、世界での野望より地元での不満が優先されることが多い。

 国際テロ対策研究所のモガダム氏は、テロに関与した中には本格的に政治活動をするようになった人物もいるとし、「少数の人をテロ監視リストに掲載すれば済むというものではない」と指摘。「脅威は変質した。暴力的な過激主義による問題に直面している政権の数は増え、地理的にも広がってきている」と語った。

 アフリカではサヘル(Sahel)地域やマグレブ(Maghreb)地方、ソマリア、リビア、モザンビーク、コンゴがジハード主義の新たな闘争の場になった。

 南アフリカ・ヨハネスブルク在住のテロ対策専門家ブレンダ・ギシング(Brenda Githing'u)氏は、闘争の場が「中東からアフリカに移ったのは明らかだ。これは予期されていなかったと思う」と話す。「新たな闘争の場の出現を予測することに失敗し、アフリカで新たなジハードが起きる可能性を考慮できなかった」