【9月3日 CNS】中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)南部のタリム盆地に位置するタクラマカン砂漠(Taklamakan Desert)では近年、洪水や豪雨が発生している。大規模な冠水が起き、「砂漠がオアシスに変わった」「大雨が続けばいずれ砂漠が緑地に変わるのでは」と話題となっている。

 タクラマカン砂漠は中国最大の砂漠で世界でも10番目に大きく、流動性砂漠としては世界で2番目に大きい。統計では、タクラマカン砂漠の年間平均降水量は100ミリ未満で、蒸発量は2500〜3500ミリに達する。

 7月19日、新疆ウイグル自治区の天山山脈に大雨が降り、夏の暑さと相まって山脈の積雪が溶け始め、タクラマカン砂漠に洪水が発生。冠水面積は300平方キロ以上に達した。中国最大の石油・石油化学企業、中国石化(Sinopec、シノペック)の北西油田にある50台の探査車両と30000点の機器が浸水した。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)新疆生態地理研究所の周宏飛(Zhou Hongfei)研究員は「地域の降水量が砂漠の吸水力を超えると洪水が発生する」と説明。中国気象局ウルムチ砂漠気象研究所の何清(He Qing)研究員は「この10年間、新疆ウイグル自治区南部では極端な豪雨が頻繁に発生している。自治区南部における気象災害の36%を占め、豪雨の規模はさらに大きくなっている」という。

 2019年6月24~28日には自治区南部の乾燥地帯で4日間連続して豪雨が発生。このうち25日にはホータン地区(Hotan)からバインゴリン・モンゴル自治州(Bayingolin Mongol Autonomous Prefecture)チャルチャン県(Qiemo)までの28の気象観測所で大雨を観測した。チャルチャン県の観測所では26日、48.7ミリという歴史的な降水量を記録した。

 2020年4月17~24日にはカシュガル地区(Kashgar)で計20回の大雨が観測され、イェンギサール県(Yengisar)キジル郷の5つの村では累積降水量が169.5ミリに上り、わずか5時間で降水量は103ミリに達した。

 何清氏は「降水量の増加は地球温暖化という背景だけではなく、自治区南部の大規模な大気循環と水蒸気輸送が変化していることが要因だ」と分析。自治区南部の湿度は高くなり続け、降水量が増えているという。

 新疆ウイグル自治区気候センターによると、自治区の降水日数は大幅には増加しておらず、降水量の増加は主に一度当たりの雨量の増加によるという。(c)CNS-第一財経/JCM/AFPBB News