【9月2日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は2日、北朝鮮が中国製の新型コロナウイルスワクチン約300万回分の受け取りを辞退したと明かした。より必要としている国々に分配されるべきだとする意向を示したという。

 専門家らは疑問視しているものの、北朝鮮政府は国内で新型ウイルス感染者は確認されていないと主張している。しかし、ウイルス流入を阻止するための国境封鎖から多大な経済損失を被っており、6月には政府が「食糧危機」への対応に取り組んでいると認めた。

 ワクチン調達の国際的枠組み「コバックス(COVAX)」の下で分配を担当するユニセフによると、こうした国内状況にもかかわらず、北朝鮮から中国製ワクチンは他国に供給して構わないと連絡を受けたという。

 ユニセフの広報担当者はAFPに対し、同国保健省から「新型コロナウイルスワクチンの世界的供給が限られていることや、一部の国で感染が再拡大していることから、コバックスが北朝鮮に用意した297万回分のシノバック・バイオテック(Sinovac Biotech)製ワクチンを、深刻な被害が出ている国々に再分配しても差し支えないとする意向の伝達があった」と話した。

 ただ北側は「今後数か月の間に新型コロナウイルスワクチンの供給を受ける」ことを念頭に、コバックスと「引き続き連絡を取り合う」考えだという。

 韓国情報機関傘下のシンクタンク「国家安保戦略研究所(INSS)」は7月、北朝鮮は同じくコバックスが用意したアストラゼネカ(AstraZeneca)製のワクチンの受け取りも辞退したと公表していた。副反応への懸念があったとみられている。

 INSSは報告の中で、北朝鮮はファイザー(Pfizer)製やモデルナ(Moderna)製ワクチンを分配・保管するための十分な冷蔵設備を持っておらず、また中国製ワクチンについては有効性を疑っているとの見方を示していた。(c)AFP