【9月2日 AFP】インド当局は1日夜、パキスタンとの係争地カシミール(Kashmir)地方の分離独立を主張してきた強硬派指導者サイード・アリ・ギーラニ(Syed Ali Geelani)師(92)が死去したことを受け、カシミールのインド支配地域に厳戒態勢を敷いた。

 ギーラニ師の死去を家族が発表すると、インドが連邦政府直轄地としたジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)の中心都市スリナガル(Srinagar)にある同師の自宅付近の道路は、治安部隊によって封鎖された。

 近くのモスク(イスラム礼拝所)のスピーカーからは、ギーラニ師の自宅を目指して行進するよう人々に呼び掛けるアナウンスが流れた。だが、警察はカシミール渓谷(Kashmir Valley)の住民に対し、何びとたりとも自宅から出てはならないと警告。数千人規模の治安部隊が直ちに展開し、モバイル通信網は遮断された。

 スリナガルでは、多数の装甲車両や軍用トラックが主要道路を巡回して警戒に当たっている。

 イスラム教徒が多数派を占めるカシミール地方は、1947年にインドとパキスタンが分離独立して以来、両国間で領有権が争われている。

 ギーラニ師は、カシミール地方のインド支配を断固として認めない活動家で、長年にわたる収監を経験した後、この11年間はほとんど自宅軟禁下にあった。数か月前から心臓と腎臓の病気を患っていた。

 パキスタンのイムラン・カーン(Imran Khan)首相は、ギーラニ師の訃報を受けていち早く哀悼の意を表し、「カシミールの自由の闘士」の死に「深い悲しみを覚える」とツイッター(Twitter)に投稿した。(c)AFP