【9月2日 AFP】米国務省高官は1日、米軍のアフガニスタン撤退に伴い国外退避を希望したアフガン人協力者のうち、大半を退避させられなかったことを認めた。米国は、混迷を極めたアフガン戦争最後の日々に強いられた厳しい選択の結果と向き合い始めている。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)政権は、イスラム主義組織タリバン(Taliban)がアフガン人の出国を今後も許可すると約束したと説明している。しかし、20年間にわたる戦争で米国に協力した人の多くは、報復を恐れている。

 匿名を条件に取材に応じた国務省高官は、すべての人が退避できるよう努力し続けると誓約。「(退避作戦を)経験した誰もが、われわれが強いられた選択と、退避させることができなかった人々にさいなまれている」と語った。

 米国はアフガン撤退に伴い、12万3000人以上をカブールの空港から退避させた。これには米国市民のほか、米国の軍事作戦に協力し、特別ビザ(査証)の受給資格を得た現地の通訳者などが含まれている。

 バイデン氏は、この退避作戦は前代未聞のものだったとして、その成果を称賛。だが同高官は、正確な数字は言えないものの、アフガン人のビザ申請者とその家族の「過半数」が取り残されたことを認めた。ホワイトハウス(White House)は8月初旬の発表で、約2万人のアフガン人がこのビザを申請しており、家族を含めた数は10万人以上になるとしていた。

 米軍の駐留するカブール国際空港(Kabul International Airport)に向かうアフガン人に対し、タリバンが暴行や嫌がらせ行為に及んでいるという情報が複数伝えられていたが、同高官によるとタリバンは協力的で、人々の通行をおおむね許可していたという。

 同空港には国外退避を希望する人々が殺到し、混乱が広がった。空港に派遣された国務省のベテラン職員によると、毎日乳児を含む子ども30人以上が親とはぐれる「悲惨」な事態となっていた。

 同職員は、服に血が付いた13~14歳くらいの少年に遭遇。「どうしたのか、なぜ家族とはぐれたのか聞いたら、目の前で人が殺され、家族全員が散り散りになったと言っていた」と回想した。(c)AFP/Shaun Tandon