【9月1日 AFP】中国政府は8月31日、孫国祥(Sun Guoxiang)アジア問題担当特使が1週間の日程でミャンマーを訪問していたと発表した。同氏の訪問はこれまで公表されておらず、訪問中には軍事政権トップのミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)国軍総司令官ら幹部たちと協議を行った。

 ミャンマーは今年2月、国軍がクーデターでアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問を拘束し、同氏が率いる国民民主連盟(NLD)から政権を奪取して以来、武力行使による反体制派弾圧が行われるなど政治的混乱に陥っている。

 弾圧を阻止するための国際社会の取り組みは実を結んでいない。欧州連合(EU)は、ミャンマー軍部と同盟関係にあるロシアと中国が、国連安全保障理事会(UN Security Council)でのミャンマーに対する武器禁輸決議の可決を阻止していると非難している。

 在ミャンマー中国大使館の発表によると、孫氏は先月21日から28日までミャンマーを訪問。ミン・アウン・フライン国軍総司令官と会談し、ミャンマーの政治情勢について「意見交換した」。

 孫氏は以前、ミャンマー軍と多数の民族集団間で行われた和平交渉の調整役となった経験がある。中国は、一部の民族集団と同盟関係を築いているとアナリストは指摘している。

 中国は発表で、「社会的安定を回復し、早期に民主的変革を再開しようとするミャンマーの取り組みを支持する」としている。ただし、追放後も自らの政権の正当性を主張するNLDの元閣僚らとの会談については一切触れなかった。

 ミャンマーに多大な影響力を持つ中国は、軍部の行動をクーデターとみなしていない。また、ミャンマーは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の重要な構成国の一つとなっている。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は昨年ミャンマーを訪問した際、「ミャンマーの国情に合った」発展の道を歩めるよう支援すると約束した。

 中国国営メディアは先月31日、中国南西部からミャンマー経由でインド洋に至る新たな海運・道路・鉄道ルートの貨物の試験輸送が成功したと報じた。(c)AFP