【8月30日 AFP】中国政府は30日、競争の極めて激しい学校制度によって児童や保護者が受けるプレッシャーを軽減するための教育改革の一環として、6~7歳の児童を対象にした筆記試験の実施を禁止した。

 中国の教育制度はこれまで試験を重視してきた。小学1年生から「高考(Gaokao)」と呼ばれる大学入試まで試験漬けの日々が続き、18歳で受験する高考の結果次第で人生の軌道が決まってしまう。

 教育省は30日付の通達で、「児童に過度の負担をかけ、非常に大きなプレッシャーを与えてきた(中略)あまりに頻繁な試験」を廃止したと発表した。低学年からプレッシャーにさらされた児童は「精神的、肉体的な健康を害する」としている。

 また、義務教育の他の学年でも、試験の回数は1学期につき1回に制限されることとなった。ただし、初級中学(中学校)では中間試験と模試の実施を認める。

 今回の措置は、中国政府が教育分野で推進する全面改革の一環。この改革では、保護者がわが子の学力向上を期待して通わせることの多い学習塾も、取り締まりの対象となっている。

 政府は7月下旬、学習塾を運営する全事業者に非営利化を命じ、週末や祝日に主要科目の授業を行うことを禁じた。これにより、1000億ドル(約11兆円)規模の学習塾セクターは事実上、立ち行かなくなった。

 学習塾取り締まりの目的は、教育格差の是正だ。中流階級の中には、子どもを一流校に合格させるための個別指導に年間10万元(約170万円)を超える費用を支払う親もいる。

 教育省は今年に入り、小学1、2年生に筆記の宿題を出すことを禁止し、中学生には一晩につき1時間半以内に終わる分量の宿題しか出してはいけないと通達している。(c)AFP