【8月26日 AFP】街灯の昆虫への影響を調べた英国の研究で、特に白色発光ダイオード(LED)を使用した街灯が虫の行動パターンを乱すだけでなく、個体数減少の原因にもなっていることが分かったとする論文が25日、発表された。

 調査チームはイングランド南部で、街灯に照らされた道路沿いの生け垣や草地と、ほぼ同じ環境で街灯に照らされていない同数の地点を比較調査。また、植生が類似した街灯のない1区画と街灯のある2区画を調べた。

 調査対象としては、夜行性の昆虫の代替指標として、ふ化してから成虫になるまでの生息範囲が数メートル以内にとどまるガの幼虫を選んだ。

 調査結果は驚くべきもので、街灯に照らされた場所の幼虫の生息数は、街灯のない場所と比べて沿道の生け垣で47%、沿道の草地では37%少なかった。

 論文主執筆者で英生態学・水文学センター(UKCEH)のダグラス・ボーイズ(Douglas Boyes)氏は、街灯のある場所では雌が産卵しないことが原因の可能性が高いとAFPに語った。

 街灯は、ガの幼虫の摂食行動にも影響していた。街灯に照らされた場所にいる幼虫の体重は、街灯のない場所の幼虫より重かったが、研究チームは幼虫が数百万年に及ぶ進化で適応してきた生息条件と相反する不慣れな環境に適応できず、成長を急ぐあまり食べ過ぎているためだとみている。

 幼虫の摂食行動の乱れは、日光に近い黄色やオレンジ色の光を発する高圧ナトリウム(HPS)ランプや低圧ナトリウム(LPS)ランプより、LEDライトが当たる場所で顕著だった。(c)AFP