【8月31日 AFP】アフガニスタン女子車いすバスケットボール代表チームの主将ニロファル・バヤット(Nilofar Bayat)さん(28)は、女性の権利向上を訴える人権活動家でもある。イスラム主義組織タリバン(Taliban)が復権した今月、命懸けで祖国を逃れた。

 安全を求めた先は、スペイン。すぐに選手生活を再開したいと思っている。

 スペイン軍機で北部の都市ビルバオ(Bilbao)に到着して数日後に記者会見を開き、タリバンによるアフガン首都カブールへの電撃的進攻で受けた衝撃や、自らの決死の国外脱出について語った。

「国連(UN)、そしてすべての国は、アフガニスタンを助けてほしい…タリバンは20年前と同じです」とバヤットさんは訴える。「今のアフガニスタンを見ると、男性ばかりで女性がいません。タリバンが女性を社会の一員として認めないからです」

 彼女と夫のラメッシュさんは20日、スペインの首都マドリード郊外の空軍基地に到着。その後、ビルバオで新しい生活を始めた。ラメッシュさんはアフガニスタンの男子バスケットボール代表の選手だ。

 反政府勢力だったタリバンが首都に進攻したのが15日。「タリバンを家の周りで見かけ、恐怖を感じました。自分や家族のことを考えました」とバヤットさんは振り返る。

「私はあまりにも多くの動画に出演し、タリバンについてや、自分がバスケットボールでしてきたこと、アフガニスタンで行ってきた女性の権利を求める運動について語ってきました。タリバンが私や私の家族を殺す理由には事欠きません」

 スペイン大使館の助力で飛行機の座席を確保し、空港に向かったが、そこで見た光景はすさまじかった。タリバンの戦闘員らは、空港へたどり着こうとする人々を阻止するために発砲し、殴りかかった。

 かつて法学生だったバヤットさんは「本当に大変な一日でした…自分の国でこれほどに危険な目に遭ったことはありません。たくさん泣きました。私や夫が殴られたからではありません。この国の支配権を誰が握ったのか、そのことを思ったからです」と語った。