【8月25日 CNS】空前のペットブームが続く中国。「2020年ペット産業白書」によると、犬・猫のペット数は1億を超えた。ペット向けの医療、美容、ホテルなどのサービスが増えている中、近年はペット専門の葬儀業者も登場している。

「私が愛犬の葬儀をしたいと思った時、業者は価格をつり上げた上、不十分なサービスでひどい取り扱いを受けた。非常に不快でした」。そう振り返る李超(Li Chao)さんは北京ペット葬儀サービス会社・寵慕(Joypets)を設立し、6年間で1000匹以上のペットを見送った。

 李さんのスタッフは大半がペットを飼った経験があるが、葬儀の体験はない。「この仕事で大事なのは、ペットへの愛情と忍耐力です」。スタッフは3か月以上の研修を受ける。お清めやペットとの別れ、火葬という手順を覚えるだけでなく、飼い主に寄り添う姿勢が重要という。「ペットを送り出すこと以上に、飼い主をいたわることに注意を払います。飼い主の言葉に耳を傾け、悲しい思いをため込まないようすることが私たちの仕事の中心です」

 業界関係者によると、中国全土には数百のペット葬儀会社があり、大都市では競争が激化している。北京市内だけでも30社以上あり、ピーク時には1社で毎月150件の注文を受けるという。ペット葬儀会社を管轄する行政部門は決まっておらず、葬儀の価格やサービス内容は業者によって大きく分かれている。

 李さんは「中国のペット葬儀市場はまだ草創期にあり、暗中模索が続いている状態です。業界全体でサービスを向上し、葬儀会社への理解を高める努力をしないといけない。そのためには何よりも『いたわりの心』が 大切です」と強調している。(c)CNS/JCM/AFPBB News