【8月27日 AFP】サディカ・マダドガル(Sadiqa Madadgar)さん(22)のインターネット交流サイト(SNS)は、アフガニスタンの他の人気若手インフルエンサーらのものと何ら変わりはなかった。イスラム主義組織タリバン(Taliban)が首都カブールを制圧し、マダドガルさんの夢を打ち砕くまでは──。

 タリバンの復権で、アフガンのソーシャルメディア界には衝撃が走っている。著名なインフルエンサーらは活動をやめるか逃げ出し、一般の人々や活動家らはネット上での存在を大急ぎで消そうとしている。

 音楽オーディション番組の「アフガン・スター(Afghan Star)」にかつて出場したマダドガルさんは、圧巻の歌唱力と飾らず親しみやすい人柄で、膨大な数のフォロワーを集めていた。

 頭をスカーフで覆った敬虔(けいけん)なイスラム教徒のマダドガルさんが日々アップする動画は、アフガンの若者たちをとりこにした。ユーチューブ(YouTube)では2万1200人のチャンネル登録者、インスタグラム(Instagram)では18万2000人のフォロワーを獲得している。

 ある動画ではクスクス笑いながらスイカを切るのに悪戦苦闘し、別の動画ではカフェで友人が弾くギターに合わせて心に響く民謡を歌っている。

 14日には初めて、あからさまな政治的メッセージをインスタグラムに投稿した。

「自分の痛みをオンラインで明かすのは好きではありませんが、これには嫌気がさしています」と記した。「この国、私の祖国が目の前でゆっくりと破壊されていくのを見ると、心が粉々に砕かれます」

 その翌日、カブールはタリバンに制圧され、マダドガルさんは投稿をやめた。

■「もう安全ではない」

 大勢のアフガンの若者、とりわけ女性と宗教的少数派が恐れているのは、過去にオンラインに投稿した内容が今、自らの命を危うくしかねないことだ。

 1996~2001年の旧タリバン政権下では、シャリア(イスラム法)の厳格な解釈によって、女性は公の場から締め出され、少女の就学は認められず、娯楽は禁止された。また、不倫に対する石打ちの刑など、残虐な刑罰が科された。

 多くの若いアフガン女性のファッションアイコンとなっていたアイダ・シャダブ(Ayeda Shadab)さんは、インスタグラムに29万人、ティックトック(TikTok)に40万人のフォロワーがいる。カブールにある自らの高級ブティックの最新ファッションを着た姿を、毎日投稿していた。

 だがファッション系の女性起業家にとって、タリバン政権が何を意味するかについて、シャダブさんは全く幻想を抱いていない。

「タリバンがカブールを支配すれば、私のような人間はもう安全ではありません」とシャダブさんは独公共放送ZDFとの最近のインタビューで語っていた。「私のようにベールをかぶらない女性や働く女性を、彼らは受け入れられないのです」

 タリバンの復権に恐怖を感じていたシャダブさんはアフガンから逃れることを決め、トルコに移住したとフォロワーに伝えた。