【8月23日 東方新報】織姫と彦星が1年に1度だけ会えるロマンティックな日、それが7月7日の七夕。今も旧暦を重視する中国では、今年は8月14日が七夕だった。短冊に願い事をかなえる日本の七夕と異なり、カップルがともに過ごす「情人節(恋人の日)」として定着。クリスマスやバレンタインデーより大切な1日となっている。

 ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の七夕限定ハートポシェット、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)の七夕限定の靴、ブルガリ(Bvlgari)の七夕スペシャルギフトセット…。中国では旧暦の七夕が近づくと有名海外ブランドをはじめ多くのプレゼント用限定品が登場する。プレゼントは男性から女性へ、もしくはお互いに贈り合う形で、1万元(約17万円)のプレゼントも珍しくない。かつてはバラの花束が多かったが、中国の経済成長に合わせて「愛の証し」も高額となっている。旧暦の七夕に合わせて婚姻届を出したり結婚式を挙げたりするカップルも多い。

 中国でも一時は2月14日のバレンタインデーが最大の「恋人の日」という位置付けだったが、近年は七夕の日が逆転した印象だ。七夕の由来は女性の技芸上達を願う日でもあり、若い女性たちが美しい伝統衣装「漢服」をまとい、コスプレパーティーのように七夕を楽しむイベントも増えている。急成長を重ねる中国社会の恩恵を受けている若者の間では伝統文化への関心が高まっており、七夕の盛り上がりも若者意識を反映している。

 中国青年報社社会調査センターが若者1640人を対象にしたアンケートでは、七夕の日の過ごし方は、映画鑑賞(49%)、ディナー(45%)、ショッピング(43%)が多かった。回答者の77%が七夕に「パートナーや好きな人に思いを伝える」と答えており、あらためてパートナーに愛情を伝えたり、初めて告白したりする重要な日となっている。

 一方で、回答者の38%が「七夕節のプレゼントは経済的に負担」、22%が「独身で、結婚を催促されるので、精神的に負担」、20%が「SNSの書き込みが愛のメッセージであふれるので心理的に負担」と答えている。また、恋人がいない男女の42%が「七夕は何もしない」と答えている。「恋人の日」を苦痛に感じている若者の姿も浮かんできそうだ。(c)東方新報/AFPBB News