【8月20日 AFP】香港で、新作ドラマの撮影のため入国したハリウッド女優ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)さん(54)が新型コロナウイルス対策の隔離を免除されたことを受け、市民から怒りの声が上がっている。

 香港の検疫措置は世界でも特に厳しい部類に入り、これにより新型ウイルスの感染拡大は抑えられているが、市民の多くは過去1年半にわたり国外の家族と会えずにいる。

 リスクの高い国から同市入りした渡航者は、ホテルで21日間隔離される。リスクの低い国からの渡航者には、ホテルでの7日間の隔離に加え、7日間の自己観察期間が設けられている。

 だが香港当局は、キッドマンさんと撮影クルーについて、「指定の専門業務遂行」を理由に隔離を免除。隔離を免除された人は、到着後2週間にわたりコロナウイルス検査を3回受ける必要がある。

 香港で撮影されているドラマは、米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)が製作する「Expats(国外在住者たち)」。香港に駐在する米国人女性3人の華やかな生活を描いたジャニス・Y・K・リー(Janice YK Lee)さんの小説が原作で、キッドマンさんは製作総指揮を務める。

 香港のタブロイド各紙は、今月12日にオーストラリアからプライベートジェットで香港入りしたキッドマンさんの行動を詳細に報道。入国から2日後に買い物を楽しむ姿や、市内の西環(Sai Wan)地区でその後行われた撮影の様子などを伝えている。

 ソーシャルメディアではキッドマンさんの隔離免除について、外国人を含む香港市民からのコメントが殺到。中国が香港の民主派に対する抑圧を進めている中、同市で暮らす裕福な外国人エリート層を扱ったドラマを撮影することを批判する声も上がった。(c)AFP