【8月18日 AFP】アフガニスタン出身の米作家、カーレド・ホッセイニ(Khaled Hosseini)氏(56)は17日、タリバン(Taliban)がアフガニスタンを支配していた1990年代の残虐行為の記憶が今も鮮明に残っており、国民がタリバンの復権を恐れるのは当然だと述べた。

 アフガニスタンの首都カブール出身のホッセイニ氏は、旧ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻後の1980年、家族と共に米国へ逃れた。2003年に発表した「カイト・ランナー(The Kite Runner)」など、アフガニスタンを舞台にしたベストセラー小説で知られる。

 ホッセイニ氏はBBCラジオ(BBC Radio)に対し、「アフガン人はタリバンを知っている」とし、かつてのタリバン支配時代に「何が起きたか覚えている。恐れる権利がある」と述べ、イスラム強硬派タリバンの「過剰さ」と「厳格な制限」を強調した。

 ホッセイニ氏は西部ヘラート(Herat)にいる親戚から、銃声や戦闘が続き、タリバンの旗が掲げられたと聞いたという。「彼らは家にいて、不安に感じ、心配し、おびえている。数百万人のアフガン人が同じような状況だ」

 カブールの空港に大勢が集まり、国外に避難しようと必死になっていた光景について触れ、「タリバンがアフガンを代表しているとは絶対に思わない」と強調した。

 さらに、「1990年代にアフガンを支配した際に残虐さが証明された政権の下で、再び生活をしなければならないという、非常に気が重い現実に(アフガン人は)直面している」と指摘した。

 ホッセイニ氏はアフガニスタンに人道支援を提供する基金を運営している。同氏は基金のウェブサイトで、「人道危機」が懸念されることから「アフガニスタンのことを非常に心配している」としている。

 ホッセイニ氏はまた、昨年の大統領選ではジョー・バイデン(Joe Biden)氏に票を投じたが、16日のバイデン氏の演説は後に残されたアフガン国民への「共感」に欠けていたと激しく非難した。

「もう一つ、大統領が言わなかったこと、少なくともはっきりとは言わなかったことは、この20年間で残されたものは何だったのかということだ」と指摘。「すべては何のためだったのだろうか?」 (c)AFP