【8月18日 東方新報】中国でインターネット病院が急増している。2015年12月に第1号が誕生し、今年6月時点で全国に1600病院を数える。診察待ち時代の短縮、地域の医療格差解消などの成果を上げているが、実際には機能していない「ゾンビ病院」も多数あるという。

「のどの炎症も微熱も大きな問題ではないので、病院に来る必要はありませんね。薬は宅配便で送ります。症状が収まらない場合、またリモートで診察します」

 南京市(Nanjing)子ども病院呼吸器科部長の趙徳育(Zhao Deyu)医師が画面越しに、親に抱かれた子どもを診察した。同病院では来院患者の診察と同時に、オンラインによるネット病院を運営している。「症状が軽い患者は来院の手間が省けます。子どものことが心配な親御さんには担当医師が毎日、オンラインで質問も受け付けています」と趙医師。患者は病院までの移動や待ち時間で体調が悪化することや、新型コロナウイルスに感染するリスクを防げる。病院は診察の効率化が図られ、院内が「密」になることも避けられる。診察費は通院の場合と大差なく、支払いもインターネット上で完了。患者と病院それぞれに「ウィンウィン」の関係となっている。

 中国のインターネット病院は、南京市子ども病院のように既存の病院がオンライン上に開設するタイプと、企業が病院と連携して開設する完全なバーチャルタイプがある。ヘルステック企業や医薬・医療機器メーカーのほか、保険会社やIT企業などの異業種も参入している。その一つ、インターネット医療大手の「微医(We Doctor)」は全国7800か所の医療機関と連携し、27万人の医師が登録。患者はスマートフォンのアプリでアクセスし、医師の勤務年数などの細かいプロフィルを参照しながら診察を申し込める。微医の王陽(Wang Yang)社長は「2018年から20年にかけて、4000万人以上がオンライン診察を受けています。平均3分で患者と医師をマッチングさせ、軽症や再診の患者が診察に要する時間を大幅に短縮しています」と説明する。

 中国では地域の医療格差が今も大きい。例えば規模の大きい上位100位の総合病院は、半数以上が東部・沿岸地域の北京市、上海市、広東省(Guangdong)に集中し、西部・内陸部では四川省(Sichuan)や重慶市(Chongqing)などに限られている。このため、中国政府はリモート診察ができるインターネット病院の設立を推進。さらに昨年からのコロナ禍で設立の流れに拍車がかかった。近隣に医療機関がない地域の住民にとって大いに役立っている。

 一方で、設立はしたものの運営に行き詰まり、「開店休業」状態のネット病院も多い。国家遠隔医療・インターネット医学センター弁公室の盧清君(Lu Qingjun)主任は「9割以上のネット病院は全く機能していないか、わずかしか利用されていない『ゾンビ状態』にある」と指摘する。公立病院のネット病院が運営システムを確立できていないケースが多いという。

 診察の「質」の確保も問題となっている。現時点ではオンライン診察に関する監督・管理規制や罰則規定は整っておらず、サービスの提供や水準は「ネット病院任せ」というのが現状。医療関係者の間では「政府は早急に関連の法律を整備し、明確な基準を作るべきだ」という声が高まっている。(c)東方新報/AFPBB News