【8月21日 AFP】アフリカ北東部・ジブチの砂漠地帯にある、灼熱(しゃくねつ)の太陽が照りつける黒い岩だらけの崖は、遠くから見てもよくわからないが、近くから見ると、そこには約7000年前のキリンやダチョウ、アンテロープが描かれているのが分かる。

 岩の表面を削って描かれたこれらのイメージは、人類発祥の地とされ、考古遺産が数多く存在する「アフリカの角(Horn of Africa)」地域の重要なロックアート(岩面画)の一つだ。

 北部タジュラ(Tadjoura)州のアブルマ(Abourma)ロックアート遺跡にある岩面彫刻は、約3キロにわたって点在しており、その数は約900点に上る。野生動物と対峙(たいじ)したり、牛を追い立てたりする当時の様子が描かれ、先史時代の生活をのぞき見ることができる。

 描かれている動物は現在もアフリカの平原や草原に生息している。ただ、厳しい砂漠が広がり、水や草木が数千年にわたって不足しているジブチにはいない。

 アブルマのガイド、オマル・モハメド・カミル(Omar Mohamed Kamil)さんは「今のアブルマは、ある意味においては墓地のようです。ここにはもう動物がいません。当時のジブチは森に覆われていたので、こうした動物たちが生息していました」と話す。

「アブルマでは…私たちは今の文明から少し切り離されています。私たちは先史時代にいて、先史時代を生きているのです」 (c)AFP/Marion DOUET