【8月12日 AFP】ブラジル下院は11日、元ゴスペル歌手で牧師から政治家に転身し、キリスト教福音派の福祉活動で有名になったフロルデリス・ドス・サントス(Flordelis dos Santos)下院議員(60)について、夫殺害に絡んで起訴されたことを受け、賛成437、反対7の賛成多数で議員資格の剥奪を可決した。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のファベーラ(貧民街)出身のドス・サントス被告は、同じく牧師だった夫のアンデルソン・ド・カルモ(Anderson do Carmo)氏と共に、リオのスラムに暮らすストリートチルドレンを何十人も養子にしたことで知られる。2人はブラジルで急成長する福音派を代表する有名人カップルだった。

 だが、ド・カルモ氏は2019年6月、リオデジャネイロ州ニテロイ(Niteroi)の自宅で何者かに銃弾で蜂の巣にされ、死亡した。42歳だった。

 リオデジャネイロ州検察は昨年8月、ドス・サントス被告を「殺人を計画し、(成人した実子や養子を)犯罪に加担させ、強盗事件に偽装しようとした」罪で起訴した。

 捜査当局は、ドス・サントス被告の実子フラビオ・ドス・サントス・ロドリゲス(Flavio dos Santos Rodrigues)被告が、義理の父親ド・カルモ氏に発砲したと断定した。使用された銃は、養子のルーカス・セザル・ドス・サントス(Lucas Cesar dos Santos)被告が購入したとされる。この他、別の子どもたち5人と孫娘1人も関与したとみられている。

 検察は、夫妻の資産をめぐる管理権の取得が犯行の目的だったとみている。ド・カルモ氏は生前、夫妻の収入を「厳しく管理」していた。

 ドス・サントス被告は議員の免責(不逮捕)特権により逮捕されてはいないが、監視用の電子アンクレットの装着を義務付けられている。

 議員資格剥奪の採択の場に同席していたドス・サントス被告は、同僚議員らに無実を訴え、「裁判所が私に無罪を言い渡した時、まだ裁かれていない人を断罪したことをあなたがたは後悔するだろう」と述べた。(c)AFP