ブラジルの貧民街からプロゲーマーに、夢はさらに大きく
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【6月28日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のファベーラ(貧民街)で生まれ育ったルイス・アウグスト・ジュニオール(Luiz Augusto Jr)さん(23)は、かつては仕事で得た金をビデオゲームに費やしていた。
だが今は、ゲーマーとして生計を立てている。
ファベーラの一つであるビガリオジェラル(Vigario Geral)での生活に転機が訪れたのは3年前。それまでは石工見習いとして建築業界で働いていた。
アウグストさんが現在、ゲーマーとして参加しているプロジェクト「アフロゲームス(AfroGames)」は、リオデジャネイロの貧民街の若者に、巨大なゲーム産業に加わる機会を与える慈善事業だ。
アウグストさんはこのプロジェクトでトレーニングを受け、助成金で自らのオンラインチャンネルを開設。そこに「AFGセニョール・マドゥルガ(AFG Sr Madruga)」のニックネームでゲームコンテンツを投稿し、人気の「グランド・セフト・オート(Grand Theft Auto)」で目を見張るようなプレーをファンに向けてライブ配信している。
「アフロゲームスを始めたとき、母や祖母は僕がビデオゲームで金を稼ぐなんて絶対に無理だと思っていました。でも応援はしてくれて、そうして今の僕があります」。アウグストさんはこのプロジェクトがスポンサーとなった最初のライブ配信ゲーマーだ。
芸術・教育プログラムを運営する非営利団体「アフロレゲエ(AfroReggae)」が立ち上げたこのプロジェクトに、今では若者ゲーマー約100人が参加。後援企業には、ブラジルのゴル航空(Gol)やメディア大手グロボグループ(Grupo Globo)などが名を連ねている。
また同プロジェクトはプログラミングや英語のクラスも提供しており、ビガリオジェラルにはゲームセンターが開設された。最上位機種のコンピューターと指導者らが、若いゲーマーの学習を支援している。
さらにプロゲーマーチーム「AFG eSports」も発足。メンバー6人は最低賃金とほぼ等しい月額1100レアル(約2万5000円)を支給され、コーチや心理学者、フィットネストレーナーの支援の下、大会を目指し準備している。
彼らのデビューは2019年、オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」の世界大会だった。
一方、アウグストさんは自らのネット配信に対して月額600レアル(約1万4000円)の助成金を受け取っている。
「おかげで、僕はファベーラの中で認められるようになりました。でもさらに先を目指したいです。インフルエンサーやコンテンツプロデューサーになりたい。そうなれるようここで学んでいます」