【8月12日 AFP】オーストラリアで、東京五輪への出場を終えて帰国した選手の一部が28日間の隔離を強いられることに対し、「残酷で配慮に欠く」といった批判や、選手団の精神状態に対する懸念が相次いでいる。

 オーストラリアでは新型コロナウイルス対策として、すべての入国者に対してホテルなどの指定施設での14日間の隔離が義務付けられており、五輪に参加した500人近い代表団も対象となっている。

 しかしサウスオーストラリア(South Australia)州政府は、東京から同州アデレード(Adelaide)への直行便が利用できない人に対し、州内への到着時に追加で14日間の自宅隔離を義務付けた。これにより、同州に戻る選手は合計28日間の隔離が必要となる。変異株「デルタ株」の感染防止のためロックダウン(都市封鎖)が実施されているシドニーでは現在、サウスオーストラリア州に戻る選手56人のうち16人が隔離下に置かれている。

 オーストラリアオリンピック委員会(AOC)のマット・キャロル(Matt Carroll)最高経営責任者(CEO)は今回の措置について、選手のメンタルヘルスに関してオーストラリアスポーツ研究所(AIS)が出している医学的勧告を無視していると主張。「他の国々では選手団の帰国を祝福しているが、われわれの選手団は最も残酷で配慮を欠く扱いを受けている」と批判した。

 オーストラリアは東京五輪で金17個を含む計46個のメダルを獲得。選手団は全員がワクチン接種を終えており、日本では新型ウイルスの検査をほぼ毎日受けていた。キャロルCEOは、こうした措置により選手団の「リスクは極めて低い」にもかかわらず、サウスオーストラリア州での追加隔離免除を求めた申請は却下されたと説明した。(c)AFP