【8月10日 CGTN Japanese】中国人にとって脳卒中は、死亡や障害が残ってしまう最大の原因です。国家脳卒中防止委員会が発表した「2019年度中国脳卒中予防治療報告書」は、中国では40歳以上で脳卒中になった人が1318万人に達し、うち毎年190万人余りが死亡していると紹介しました。脳卒中には虚血性と出血性がありますが、中国では出血性脳卒中が約25%を占めており、西側国家の9〜13%よりもはるかに高い水準です。出血性脳卒中は中国人にとって、西側国家の国民よりも危険性が遥かに高く、有効な治療法も存在しない病気でした。

 脳出血は脳内炎症を誘発し、脳水腫を加速させます。患者はそのことで死亡したりや障害が残ったりします。これまでは原因がはっきりせず、有効な治療手段がなかったことが、出血性脳卒中の治療における難題でした。しかし中国の科学者はこのほど、脳出血後に神経炎症が起こる「元凶」物質がホルミルペプチド受容体1(FPR-1)であると突き止め、この物質を標的とする新型拮抗薬を開発しました。同研究成果は8月4日、米科学誌「サイエンス」の姉妹誌である医療学術誌の「Science Translational Medicine」オンライン版で発表されました。

 同研究を行ったのは、中国神経系疾患臨床医学研究センターの王擁軍教授が率いるチームでした。チームは現在、専門組織との協力によりT-0080小分子について活性度、安定性、生化学的特性など薬剤としての改善を進め、出血性脳損傷に対する薬物治療の臨床試験への道を切り開いています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News