【8月30日 AFP】米カリフォルニア州の農園で、壊滅的な干ばつと新たな給水制限に打ちひしがれながら、ダニエル・ハートウィグ(Daniel Hartwig)さんは香り高い貴重なアーモンドの木、数千本を引き抜いていった。それしかできることはなかった。

「胸が張り裂けそうだ」。かつては見事なアーモンド畑だった景色を前に、ハートウィグさんは嘆いた。丸まった枯れ葉の下でしなびた実は、水さえあれば今年の収穫となるはずだったものだ。

 午前中から気温が40度近くまで上がる今夏の猛暑の中、放置された木の根はすでに腐って粉を吹いたようになっている。その間を重機が動き回って、ハートウィグさんの「美しい最高のアーモンドの木」だったものを木くずの山に変えていく。

 ハートウィグさんは、小さな町ヒューロン(Huron)の近くに広がるウルフ農園(Woolf Farms)で水管理の責任者を務めている。広さ2万エーカー(約8000ヘクタール)を超えるこの農場で、まだ寿命を迎えていないアーモンドの木をこれほどたくさん引き抜かなければならなかったのは、今回が初めてだ。

 カリフォルニア州では近年、降水量が非常に少なく、とりわけ冬の乾燥が厳しい年が続いた。このため、州当局は農業生産者への水供給を制限している。

 世界で消費されるアーモンドの80%がカリフォルニア州で生産される。アーモンドミルクなど、動物性食品の代替となる製品の需要が高まり、アーモンドの市場規模は15年間で倍増した。

「農家が水を浪費しているという見方がある」と語ったハートウィグさん。ジーンズのポケットに手を突っ込み、「私たちはまるで悪者扱いだ」とこぼした。(c)AFP/Camille CAMDESSUS