【8月13日 AFP】米カリフォルニア州の農場で、ひび割れた地面を注意深く調べる人がいる。手にしているのは、V字形の木の枝。焼け付く太陽の下、一呼吸して仕事に取り掛かると、枝の分かれ目を下に向け、上下に5回、機械のように振りながら進んだ。

 足を止めると、ピンク色の小旗を目印として地面に置き、うなずいた。「この地層なら、大金を出す人がいるでしょう」。地下水があるという意味だ。

 デービッド・サギュースピ(David Sagouspe)さん(70)は、木の枝を使って地下水脈を探す「ダウザー」として、40年以上前から働いてきた。ダウザーは「水の魔法使い」とも呼ばれる。

「米国の果樹園」を自負するカリフォルニア州だが、近年は極度の干ばつが相次ぎ、サギュースピさんに頼る農家が増えている。

 深刻な水不足に見舞われている地域で水脈を探すためには、どんな木の枝でも良いわけではない。「ヤナギを使う人もいるが、私には反応が速すぎる」と言う。

 サギュースピさんが使うのは、オリーブの枝だ。ピックアップトラックのダッシュボードにいつも置いてある。持ち手には黒いテープが巻かれている。

「この枝はほとんど体の一部になっています」とサギュースピさん。「トラックで走りながら探すとき、水のある場所に近づくと手の中でピリピリし始めるんです」

■「変わり者」

「私は変わり者なんだ」といたずらっぽく話すサギュースピさんは、道具や地図は使わず、地質調査もしないと言う。代わりに渓谷を潤す近隣の山脈と、地域一帯に関する極めて正確な知識を頼りに水を探す。

 同じくここでダウザーとして働いていた父親から、水を探し出す「エネルギー」を受け継いだのだという。サギュースピさんはそのエネルギーをAFPの記者にも伝えようとしたが、うまくいかなかった。

 地下水が出る可能性があるとしてピンクの旗で目印を付けた場所は、1か所につき1000ドル(約11万円)の収入となる。

 サギュースピさんによると、2014年の深刻な干ばつの際には、娘の結婚式の費用がまかなえるほど多くの依頼が来た。今年は果樹園が干上がり、家畜は脱水状態に陥り、農家はうろたえている。これまでで最高の収入が望めそうだとサギュースピさんは言う。