【8月4日 AFP】東京五輪の卓球女子シングルスに、大会最年少の12歳で出場したシリアのヘンド・ザザ(Hend Zaza)が、卓球王国の中国から練習に招待されていることが明らかになった。中国メディアが4日、報じた。

 ザザは2020年、五輪本大会への切符を手にしたことで、内戦に引き裂かれた母国で一躍脚光を浴びた。本大会では予選でオーストリアの選手に0-4で完敗し、五輪での挑戦は早々に幕を閉じたが、今後は早ければ来月にも練習参加のため中国へ向かうとみられている。

 招待したのは中国オリンピック委員会(COC)で、国営中国中央テレビ(CCTV)は「海外での練習に参加できることを楽しみにしています。これをきっかけに成長を続け、優勝という夢を実現させたい」というザザ本人の談話を伝えた。

「もちろん、まずは中国選手のレベルに追いつきたい。夢は中国の選手と同じくらい強くなることなので、中国で同じ練習を受けられることを楽しみにしています」

 シリアでは、2011年に政府軍と抑圧された反体制派との間で内戦が起こって以来、約50万人が命を落とし、無数の人が住む場所を失い、インフラも破壊された。ザザはそうした厳しい逆境を乗り越え、五輪の舞台にたどり着き、開会式ではシリア国旗を手に行進した。

 ザザは以前、「国内の練習環境は、個人的にはとても厳しく、別の場所で練習したかった。卓球台もなく、十分な準備ができなかった」と話している。ザザは1968年のグルノーブル冬季五輪のフィギュアスケートに11歳で出場したベアトリス・フスティウ(Beatrice Hustiu、ルーマニア)以降では、最年少の五輪選手となっていた。(c)AFP