【8月2日 AFP】米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は1日、新型コロナウイルス変異株「デルタ株」の感染者が急増しているが、同国で再びロックダウン(都市封鎖)が実施される可能性は低いとの見方を示した。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)政権の首席医療顧問を務めるファウチ氏は、米ABCの番組「ディス・ウイーク(This Week)」で、米国は今後「多少の痛みと苦しみ」を経験すると述べた。

 しかし、昨冬のように死者が激増する事態の再発を防ぐのに十分な数の国民がワクチンを接種していると指摘し、「ロックダウンが行われることはないと思う」と述べた。

 バイデン氏は先週、デルタ株の感染が拡大していることから新たな規制の実施を示唆していた。

 米疾病対策センター(CDC)は7月27日、新型ウイルス対策のマスク着用をめぐる指針を変更し、感染が広まっている地域ではワクチン接種を済ませた人も屋内でのマスク着用を再開するべきとした。

 CDCは、デルタ株は水痘並みの感染力があり、ワクチン接種済みの人が感染する「ブレイクスルー感染」の場合でも、ワクチン未接種者と同様に感染を広げる可能性があると指摘していた。

 バイデン氏は、多くの国民がワクチンを接種すれば「自由の夏」が訪れると予測していたこともあり、マスク着用への方針転換によってワクチンへの信頼性が損なわれるのではないかとの懸念も生じている。

 しかし、ファウチ氏は、ワクチンを接種していれば、感染リスクは非常に低く、感染して重症化したり、死亡したりする可能性はもっと低いと繰り返し指摘し、懸念の払拭(ふっしょく)に努めた。「感染が広がっているのは、ワクチン接種を受けていない人たちの間だ」 (c)AFP