【8月1日 AFP】1日に行われた東京五輪、ボクシング男子スーパーヘビー級準々決勝の試合で、失格になったフランスの選手が「不当」な判定に抗議し、リングサイドで座り込んだ。

 フランスのムラド・アリエフ(Mourad Aliev)は、英国のフレーザー・クラーク(Frazer Clarke)との準々決勝の2回にバッティングで失格になった。するとアリエフはリングの端に座り込み、審判員がミスを認めたと主張した。東京五輪のボクシングで物議を醸す判定が下されるのはこれが初めてとなった。

 アリエフは「座り込んで自分に対する不公平に抗議した」と話し、「今回の五輪のために4年かけて準備してきたんだ。不当な扱いとは本気で闘いたかったから、判定に同意しないということを自分なりに示した」と続けた。

「おかげでジャッジは話し合いを行い、何があったかを確認した。彼らに言われたのは、自分が勝っていた可能性もあったが、すでに失格で試合結果が確定しているため、判定を無効にはできないということだった」

「時すでに遅しだった」

 アリエフは、失格の判定を下す前にレフェリーがまったく警告を出さなかったことにも言及し、「まったく警告なく止められ、いきなり『君の負けだ』と言われて、それで終わりだった」とコメントした。

「だから、あれは一種の破壊行為だったと思っている」

 両目のあたりを切ったクラークは、そのときのことを「混乱した」状況だったと話している。

「レフェリーが判定を下したわけだし、試合を裁くために審判がいる。最高のレフェリーと審判員が数多く派遣されているんだから、僕らはその判断を信じる必要がある」

「僕としては、彼らは自分が正しいと考えることをやったと思っている」

 アリエフに対しては「落ち着く」よう語りかけたとのことで、「自分も以前にこうした状況を経験しているが、こういうときはたいてい頭で考えられず、心と感情でぐちゃぐちゃの状態で考えてしまう」と話している。(c)AFP