【7月30日 AFP】オーストラリアの首都キャンベラにある国立美術館(National Gallery of Australia)は29日、美術品14点をインドに返還すると発表した。うち少なくとも6点は、盗まれたか違法に輸出されたものとみられている。

 同美術館によると、14点には彫刻や写真、書簡などが含まれており、盗難や略奪されたもの、もしくは出どころが不明であることが特定されている。

 美術品の大半は「宗教的および文化的芸術品」で、12世紀までさかのぼるものもあり、その価値は220万ドル(約2億4000万円)相当に上る。

 ニック・ミツェビッチ(Nick Mitzevich)館長はAFPに対し、数か月以内にインド政府に返還される予定だと述べた。

「美術品をインドの人々に戻すことができ安心した。国立美術館の非常に難しい歴史の一章を閉じるというわれわれの決意だ」

 返還予定の14点のうち13点は、米マンハッタン(Manhattan)の元美術商で、米連邦政府による大規模捜査「オペレーション・ヒドゥン・アイドル(Operation Hidden Idol)」の対象となったスバーシュ・カプール(Subhash Kapoor)被告に関連している。

 カプール被告が扱った骨董(こっとう)品の多くは、インド南部タミルナド(Tamil Nadu)地域でヒンズー教美術が栄えた、11~12世紀のチョーラ(Chola)朝時代のものとなる。

 2011年にカプール被告が逮捕されて以来、米国も数百点の美術品を返還している。(c)AFP