【6月1日 AFP】タイの首都バンコクにある国立博物館で5月31日、ベトナム戦争中に盗まれたとされる二つの寺院の梁(はり)の遺跡がお披露目された。梁は1日から3か月間、同博物館で展示の予定。

 これらは米国から返還されたもので、5月28日にバンコクに到着した。砂岩製の寺院の梁は10世紀後半または11世紀に造られたと考えられており、ヒンズー教の神、インドラ(Indra)とヤマ(Yama)の精巧な彫刻が施されている。

 梁は数十年間、米サンフランシスコ・アジア美術館(San Francisco Asian Art Museum)で展示されていた。米国土安全保障省(US Department of Homeland Security)の長年の調査の結果、返還が決まった。

 タイ国立博物館では5月31日、伝統音楽が流れ、イッティポン・クンプル(Itthiphol Khunpluem)文化相が見守る中、梁の梱包(こんぽう)が解かれた。

 イッティポン氏は「二つの梁は、何世紀も前のわれわれの繁栄の歴史の証拠だ」とし、米当局とタイ外務省に感謝を述べた。

 梁には有名なカンボジアの寺院によく似た特徴があり、古代クメール王国(Khmer Kingdom)の影響が見て取れる。1958~69年の間に盗まれ、タイ国外に持ち出されたと考えられている。

 イッティポン氏は、今も「13点の仏像と彫刻が施された遺物が米国にあり、返還を待っている」と語った。

 サンフランシスコ・アジア美術館は、収蔵物が盗品だったという調査結果に異を唱えると同時に、長年返還を検討していたと主張していた。(c)AFP