「怖い…でも、自分自身でいられる」 五輪初のトランスジェンダー審判員
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【7月30日 AFP】カナダのキンバリー・ダニエルズ(Kimberly Daniels)さんは、五輪史上初のトランスジェンダーを公表する審判だ。東京五輪の1年延期が決まるまでは、公表せずに審判を務めるつもりだったという。
カヌー競技の審判員であるダニエルズさんは29日、「こうしてここにいることは、確かに怖いです。でも、今は自分自身でいられるので落ち着いてもいます」と都内で記者団に語った。ダニエルズさんの娘、ヘーリー・ダニエルズ(Haley Daniels)も、カヌー・スラロームで大会に出場。28日の予選で敗退している。
「世界に向けて話すことは本当に恐ろしい。でも、私たちがただの人であることを理解してもらうのは重要…何よりもまず、人を尊重しなければいけません」
東京五輪では来週、ニュージーランドの重量挙げ選手、ローレル・ハバード(Laurel Hubbard)が、大会史上初のトランスジェンダー選手として競技に臨む。
トランスジェンダー選手の競技出場に関しては、議論が戦わされている。ハバードは、出場するための資格基準をすべて満たしているが、思春期や人生の前半を男性として過ごしているため、身体的に有利だと批判する選手もいる。
ダニエルズさんはまた、大会への参加について悩んでいた際、娘から励まされたことを明かした。
トランスジェンダーだと公表する父親をサポートすることについて、娘のヘーリーは「マニュアル」はないと述べている。
「キンバリーは私のお父さんで、お母さんは私のお母さんです」と述べ、「お父さん、本当に誇りに思う」と続けた。
ダニエルズさんがトランスジェンダーであることを公表したのは昨年9月。五輪関係者らは支持してくれているという。また今回の来日では、日本のボランティアらが温かく迎えてくれたこともうれしかったと語った。(c)AFP