【7月29日 AFP】東京五輪では28日、体操女子のスター選手であるシモーネ・バイルス(Simone Biles、米国)が精神衛生を理由として団体総合に続き個人総合の決勝も棄権したことで、新型コロナウイルス対策の厳しい規則の下で開催されている今大会での選手の精神状態に注目が集まった。

 27日に団体総合決勝を途中棄権して波紋を呼んでいたバイルスは、続けて個人総合決勝も棄権。これにより、残る種目への参加も疑問視されている。

 今大会では、同じく注目選手の大坂なおみ(Naomi Osaka)がメンタルヘルスを理由とした休養から復帰してテニス女子シングルスに出場したものの、3回戦で敗退する結果に終わっていた。

 バイルスは2013年から個人総合で無敗を誇り、史上最高の選手と広く評されている。東京五輪では金メダル5個獲得を狙い、旧ソ連の体操選手ラリサ・ラチニナ(Larisa Latynina)が樹立した五輪金メダル通算9個の最多記録に並ぼうとしていた。

 だがバイルスは今週、「世界の重みが自分の肩にのしかかっている」との心情を吐露。団体総合決勝では、跳馬で不安定な演技を見せた後、途中棄権した。

 精神面の問題に直面している選手はバイルスだけでなく、複数の選手が新型ウイルス関連の制限措置により生じた障害について苦言を呈している。女子バスケットボール、オーストラリア代表のスター選手であるエリザベス・キャンベージ(Elizabeth "Liz" Cambage)は、日本で家族や友人のサポートや観客の声援なしに隔離環境に置かれることが「恐ろしい」として五輪出場を辞退した。

 28日には、来日後に新型ウイルス検査で陽性反応が出たオランダ代表選手らが、隔離中の厳しい規則をめぐり座り込み抗議を行ったことを明らかにした。この抗議の結果、選手らは今後1日15分、開いた窓のそばに立つことを許可された。

 国際オリンピック委員会(IOC)の広報担当マーク・アダムズ(Mark Adams)氏は、選手に対するサポートとして、選手村や電話でのカウンセリングなどを用意していると説明した。(c)AFP