【7月27日 AFP】東京五輪は26日、男子シンクロ高飛び込み決勝が行われ、英国のトム・デイリー(Tom Daley)/マティ・リー(Matty Lee)組が、金メダル有力候補だった中国ペアを僅差で抑え優勝した。「飛び込み王子」として知られるデイリーは悲願の金メダル獲得を受け、亡き父への思いを語った。

 27歳のデイリーは2012年ロンドン五輪と16年リオデジャネイロ五輪でいずれも銅メダルを獲得。4度目の五輪でようやく金メダルを手にしたデイリーは、表彰台で涙をぬぐった。

 中国の陳艾森(Chen Aisen)/曹縁(Cao Yuan)組はいずれもこれまでの五輪で金メダルを2個獲得している実力派だったが、決勝では4回目の演技に失敗。合計点はデイリー/リー組が471.81点で、陳/曹組の470.58点を上回った。

 10代で飛び込み界の神童として注目され始めたデイリーは、英国のスポーツ界を代表する選手の一人となった。米脚本家のダスティン・ランス・ブラック(Dustin Lance Black)氏と結婚し、息子のロビーちゃんをもうけており、同性愛者の権利に関する積極的発言でも知られる。

 デイリーは、2011年にがんにより40歳の若さで死去した父のロブさんに言及。「父は僕が五輪でメダルを取り、結婚し、子どもを持つ姿を見られず、僕に車の運転を教えたり、パブで一緒に飲んだりすることもできなかった」と語り、「僕が五輪チャンピオンになったことを、父は非常に誇りに思っただろう。これはずっと2人の夢だった」と話した。

 デイリーはまた、自分を含む選手らの五輪での活躍が、性的指向について悩んでいる若い世代の支えとなってほしいと考えている。「これが小さな子供たちに希望を与え、不安や恐怖、孤独を感じなくなればいいと思う」 (c)AFP