【7月27日 東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)のサファリパークから4月にヒョウが脱走した騒動を受け、杭州市は「動物園の管理強化と標準化に関する草案」を発表した。飼育する猛獣にマイクロチップを埋め込む方針などを示している。中国では動物園などから動物の脱走が相次いでおり、新たな方針は全国的に注目を集めている。

 杭州市では4月19日、杭州野生動物世界(Hangzhou Safari Park)から3頭のヒョウが脱走。1頭は4月21日に麻酔をかけて捕獲し、2頭目は5月8日に山中で捕獲したが、3頭目は今も見つかっていない。職員の不注意が脱走の原因で、しかも杭州野生動物世界は外部に指摘されるまでヒョウの脱走を公表しなかった。警察は杭州野生動物世界の代表ら5人を拘束し、捜査を進めている。

 この問題を受け、杭州市は7月13日に「草案」を発表。動物園や水族館、サファリパーク、公園の動物広場、希少動物の飼育・繁殖研究施設を対象とし、「猛獣類のおりの出入り口は同時に開かない2つのドアを設ける」「赤外線装置や監視カメラなど24時間の監視体制を構築し、警報システムを備える」「人為ミスを防ぐため猛獣1頭に対し2人の職員が対応する」「猛獣にマイクロチップを埋め込む」などとしている。草案は市民から意見を募集した後、内容を正式決定する。

 中国では近年、動物の脱走事故が繰り返されている。2017年11月には広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)の広州動物園(Guangzhou Zoo)でヒョウ1頭がおりから逃げ出した。2019年7月には安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)の合肥野生動物園からチンパンジーが竹林をつたって脱走。阻止しようとした人をけがさせた上、体に撃ち込まれた麻酔銃を素手で引き抜いた。杭州野生動物世界の脱走が起きた直後の今年5月25日にも、河南省(Henan)南陽市(Nanyang)の孔雀谷公園で、飼育員がおりの扉を閉め忘れてトラが脱走した。

 世界動物保護協会の科学者、孫全輝(Sun Quanhui)氏は「杭州市のアプローチは評価に値する。動物園の安全管理を強化し、事故防止に役立つだろう」と述べ、同様の取り組みが全国に広がることを期待する。一方で、杭州市の草案に対しては「大規模な設備投資が必要となると経営が圧迫される動物園もある」「マイクロチップは必ずしもリアルタイムに居場所を把握できない」などの指摘もある。

 中国には「亡羊補牢(羊が逃げた後に囲いを増やす)」という故事成語がある。最近は「後の祭り」という意味で使われることが多いが、「過ちを改めるのに遅いということはない」が本来の意味だ。中国メディアは「ヒョウの脱走をきっかけに『亡豹補牢』の精神で対策を進めるべきだ」と呼びかけている。(c)東方新報/AFPBB News