【7月26日 AFP】東京五輪で8回目の五輪出場を果たした女子体操のレジェンド、オクサナ・チュソビチナ(Oksana Chusovitina、ウズベキスタン、46)が25日、種目別跳馬で敗退した。自身にとって最後の五輪だと公言しており、演技後には会場でスタンディングオベーションが起きた。

 予選で敗れ、決勝に進めなかったことにチュソビチナは落胆の色を隠せなかったが、集まってきた選手やコーチらから抱擁された。会場の有明体操競技場(Ariake Gymnastics Centre)には「体操競技への貢献に感謝します」と館内放送が流れ、大会役員や報道関係者からは拍手が上がった。

 チュソビチナは「これほど多くの人たちから、これほど長い間支えてもらったことがうれしくて泣いた」と語った。「本当に感謝している」

 1975年にウズベキスタンで生まれたチュソビチナは、旧ソビエト連邦代表のジュニア選手として1987年にキャリアをスタート。初の五輪出場となった1992年バルセロナ大会では団体金メダルを獲得し、2008年北京大会では跳馬で銀メダルに輝いた。

 体操競技から離れた時期もあったが、息子のアリーシア(Alisher)さんが白血病と診断されたため、治療費をまかなうため競技に復帰。病気から回復したアリーシアさんは現在20代で、東京で母親と競った選手の多くよりも年上となっている。

 新型コロナウイルスの感染予防対策で無観客での開催となった中、会場にいた数十人はチュソビチナにふさわしい花道を飾らせようとしたが、チュソビチナはこのような雰囲気を望んではいなかったと認めた。「観客がいたら良かったと思う」

「もちろん、パフォーマンスの面では競技者と器械だけの方がいい。でも、すべての選手は注目と歓声を必要としている」と語ったチュソビチナは、「ひょっとしたらパリは棄権して、喝采を浴びるためにロサンゼルスに行くかも」と冗談を飛ばした。パリは2024年、ロサンゼルスは2028年に五輪開催が予定されている。

 チュソビチナは1992年バルセロナ大会から今年の東京大会まで8回の五輪に連続出場してきたが、東京大会で最後にするという考えに変わりはないと強調した。「私は46歳!心変わりはない」 (c)AFP