【7月23日 AFP】国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)委員会は22日、イタリア北部ベネチア(Venice)の「危機にさらされている世界遺産(危機遺産)」への登録を見送った。同国は数週間前、ベネチア市内中心部への大型クルーズ船の入航禁止を決定している。

 世界遺産委員会は先月、「より持続可能な観光管理」が必要だとして、1987年に世界遺産登録されたベネチアの危機遺産への登録を警告していた。

 同委員会は、中国・福建(Fujian)省福州(Fuzhou)でオンライン形式で開催された会合で、イタリア政府のクルーズ船進入禁止の決定を評価するとともに、ベネチアの生態系と遺産保護の取り組みを来年12月までに報告するよう求めた。

 イタリアのマリオ・ドラギ(Mario Draghi)首相は、今回の決定について、「大いに満足している」と述べた。

 活動家らは長年にわたり、クルーズ船のサンマルコ広場(St Mark's Square)の通過を禁止するよう求めてきた。クルーズ船の通航により生じる大きな波がベネチアの地盤をむしばみ、脆弱(ぜいじゃく)な潟湖(せきこ)の生態系に害をもたらすと主張している。

 大型クルーズ船は来月1日から、サンマルコ盆地(Basin of San Marco)、サンマルコ運河(Canal of San Marco)、ジュデッカ運河(Giudecca Canal)への進入が禁止される。(c)AFP