【7月19日 AFP】国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)が世界遺産(World Heritage)グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)を「危機にさらされている世界遺産」に登録しようとする動きについて、中国高官は18日、中国政府が圧力をかけているという豪の主張を否定した。

 関係が悪化している中豪は、いずれも世界遺産委員会の委員国。今年の委員会は、中国教育省の田学軍(Tian Xuejun)次官が議長を務める。

 田氏はオンライン会見で、中国政府がグレートバリアリーフを「危機遺産」に指定するよう圧力をかけたという「オーストラリア政府の主張」について質問を受けると、「(今回の判断は)オーストラリアが自ら提供した報告書とデータに基づいている」と回答した。

「オーストラリアは、他の(ユネスコ)加盟国に根拠のない言い掛かりをつけるのではなく、世界遺産を守る義務を果たすべきだ」

 ユネスコは、全長約2300キロに及ぶグレートバリアリーフで1995年以降、サンゴの半分が死滅したことを受け、「危機遺産」に登録する勧告案を公表した。

 オーストラリアはこれに反発。数十億ドルを投じて沿岸水域を浄化してきたとして、健康なサンゴが海面水温の変化でストレスを受けると体内に生息する藻類が外に追い出される「白化現象」の原因は、地球温暖化だと主張している。

 一方、ユネスコの専門家らは、カーマイケル(Carmichael)炭鉱などからの汚染物質の流出が水質の低下につながっていると指摘し、浄化が不十分だと反論している。

 グレートバリアリーフが「危機遺産」に登録されるかどうかは、今月23日ごろに決定する。(c)AFP