【7月22日 AFP】フランスで21日から、映画館や美術館、スポーツ施設などへの入場に際し、新型コロナウイルスのワクチン接種を完了しているか検査で陰性だったことを証明する「衛生パス」の提示が義務化された。流行の第4波の真っただ中にあるフランスだが、いわゆるワクチンパスポートの導入は論争を呼んでいる。

 衛生パスの提示は、50人以上が集まる場所やイベントで義務付けられた。エッフェル塔(Eiffel Towe)も対象だ。8月からは飲食店やショッピングセンターにも適用が拡大される。

 フランスの21日の新規感染者数は2万1000人で、5月上旬以来の多さとなった。ジャン・カステックス(Jean Castex)首相は、新規感染者のほとんどがワクチン未接種者だと指摘し、衛生パスの導入を擁護。仏TF1テレビで「わが国は第4波の中にいる」と述べ、衛生パスの目的は4回目のロックダウン(都市封鎖)を回避することだと説明した。

 オリビエ・ベラン(Olivier Veran)保健相は、ワクチン接種の選択の自由を政府が侵害しているとして接種を拒否する人々を非難。「自由というのは、脱税や高速道路の逆走をすることでも、飲食店内で喫煙することでも、自分と他者を同時に守るワクチン接種を拒否することでもない」と議会で訴えた。

 パリ郊外ロニースーボワ(Rosny-sous-Bois)で映画館に入ろうとした女性(28)は、ワクチンを2回接種済みだったのに入館を拒否されたことに驚いたと述べ、2回目の接種から1週間以上が経過していなければならないという条件について「ばかげている!」と主張した。

 新型コロナワクチンに懐疑的な人々は、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領の政策を「ワクチン独裁」だと批判し、抗議デモを展開している。

 特に、飲食店経営者らは、客にサービスを提供する前にワクチン接種の有無を確認するよう求められていることに憤慨している。カステックス氏は22日、規則導入から1週間は違反した飲食店を罰さない方針を示した。だが、その後は経営者に最高1500ユーロ(約20万円)の罰金が科され、2回目以降は罰金額が上がる。(c)AFP