【7月18日 東方新報】中国・山東省(Shandong)青島市(Qingdao)沖に「毎夏恒例」となった大量の藻が押し寄せている。今年で15年連続。藻の発生面積は約6万594平方キロに達し、日本の東北地方の総面積(6万6950平方キロ)に近い。青島沖では昨年と比べて9倍、これまでで最悪だった2013年と比べても2.3倍に広がっている。見渡す限りグリーンの光景は美しくも見えるが、海の生き物が生きづらい「死の世界」だ。

 それ自体は無毒な藻だが、水中の酸素を使い尽くし太陽光をさえぎるため、海洋生物の大量死をもたらす。藻が海岸に打ち上げられると悪臭を発し、漁業や観光にも悪影響を与える。2008年北京五輪の際も大量の藻が発生し、青島市近くのセーリング競技会場での開催が危ぶまれた。最大1万人の兵士とボランティアを投入して100万トン以上の藻を取り除き、なんとか開催にこぎ着けた。

 藻が生育する最適な温度は20~25度で、青島市付近では毎年6月ごろから藻が漂流してくる。青島の赤潮ならぬ「緑潮」は全国的に有名で、一面グリーンの海が「映える」として撮影に訪れたり、大量の藻の中を泳いだりする市民もいる。大量発生の原因として、浅瀬でのノリの養殖拡大や水質汚染などが挙げられる。特定の主要排出源があるわけでなく、対策を打ちようがないのが現状だ。

 そのため、藻を回収して再利用する動きも進んでいる。地元企業は藻の脱水、圧縮、加工をして約500種類の有機肥料を製造し、野菜や果物、園芸などに使用されている。藻からオリゴ糖を生産することや、藻が死んで発生するメタンガスを使ったエネルギーステーション構想もある。ただ、生産コストや生産能力の面から、まだまだ技術改良な段階だ。

 青島市では人工衛星による観測やヘリコプター、船による調査で藻の集中発生エリアを確認し、7月上旬までに7300隻以上の船を派遣して約24万トンの藻を回収した。だが、天然資源省北海予報センターによると、藻の発生は8月中旬まで続く見込みで、格闘はまだまだ続くことになる。(c)東方新報/AFPBB News