【7月17日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)で発見された1億2500万年前の恐竜の化石に、中国人学者が日本の「ドラえもん(Doraemon)」から「のび太」という学名を付けたことが話題になった。ラテン語の学名は、「のび太」に人名を示す接尾辞「イ」をつけた「ノビタイ」。中国でもドラえもんは大人気だが、のび太の名前は中国では「大雄(Daxiong)」と訳されている。中国語の発音の「ダーション」でなく「ノビタ」と命名したことに、学者の「原作愛」が伝わってくる。

 中国でドラえもんは当初、「機器猫(ロボット猫)」と訳され、現在はドラえもんの発音に近い「哆啦A夢(Duo-la-ei-meng)」と呼ばれている。中国では日本のような漫画市場は発展していないが、「ドラえもん」の漫画本は古くから書店や売店、露店などで販売されていた。1990年代になるとアニメの放映も開始。中国人でドラえもんを知らない人はいないほど有名となった。

 21世紀に入ると中国政府の国産アニメ振興策の影響で海外アニメは放映されなくなったが、新作映画は上映されている。2014年に日本で公開された『STAND BY ME ドラえもん(Stand by Me Doraemon)』は中国でも翌年上映され、日本での興行収入約84億円を上回る5億3000万元(約90億円)を記録しており、その人気ぶりが分かる。

 今回、化石を「ノビタイ」と命名した中国地質大学(China University of Geosciences)の邢立達(Xing Lida)准教授は1982年、広東省(Guangdong)生まれの39歳。小学校高学年の頃に「ドラえもん」のアニメ放映が始まっており、「のび太とドラえもんは中国の子どもたちにとって非常に大きな存在です。私にとっても楽しい子ども時代のかけがえのない思い出です」と話している。

「ノビタイ」と名付けられた化石は、昨年の豪雨で流された岩から長さ31センチの足跡4つが発見されたもので、白亜紀前期に生息した全長4メートルの新種の肉食恐竜とみられている。邢准教授は、2020年に中国で公開された『ドラえもん のび太の新恐竜(Doraemon: Nobita's New Dinosaur)』でのび太が新種の恐竜に自分の名前をつけていたことから、「のび太くんの願いを一つかなえてあげたいと思いました」と命名の理由を語っている。国境を越えて親しまれているドラえもんとのび太。原作者の藤子・F・不二雄(Fujiko F Fujio)先生も天国できっと喜んでいるだろう。(c)東方新報/AFPBB News