【7月15日 AFP】新型コロナウイルスが猛威を振るうインドネシアでは14日、1日の新規感染者が5万4000人を超え、過去最多を更新した。感染力の強い変異株「デルタ株」の拡大により、同国はインドを抜いてアジアのコロナ流行中心地となっている。

 インドネシアでは感染者の急増により病院が逼迫(ひっぱく)。自宅で多数の人が亡くなり、患者の家族が治療に必要な酸素ボンベを必死に探し求める状況となっている。

 インドネシア保健省の発表によると、過去24時間の新規感染者は過去最多の5万4517人、死者は991人。新規感染者に対する死者の割合は、6月上旬から10倍に増加している。だが検査や接触者追跡の体制が整っていないことから、実際の犠牲者ははるかに多いとみられている。

 オーストラリア・グリフィス大学(Griffith University)に所属するインドネシア人疫学者のディッキー・ブディマン(Dicky Budiman)氏は、「インドネシアはパンデミック(世界的な大流行)の中心地となる可能性があるが、すでにアジアの中心地となっている」と指摘。人口の差を考えれば、インドネシアの状況は「インドよりもはるかに深刻だ」とした。1日の新規感染者数は実際には10万人を超えている可能性があり、1日の死者は今月末までに倍増し、2000人に達する恐れもあるという。

 最近、コロナ流行の大きな波に見舞われていたインドでは現在、1日の感染者数の平均は約4万4000人、死者数の平均は1028人となっている。だがインドの人口はインドネシアの5倍近くあり、統計サイト「ourworldindata.org」によると人口100万人当たりの新規感染者数はインドネシアが141人なのに対し、インドでは29人にとどまる。(c)AFP