【7月9日 AFP】バングラデシュの首都ダッカ近郊の食品工場で8日午後、大規模な火災が発生し、少なくとも52人が逃げ遅れ、死亡した。警察が9日、発表した。火から逃れるため上階から飛び降りた従業員もおり、約30人が負傷した。

 火災が起きたのは、工業都市ループゴンジ(Rupganj)にある、麺やフルーツジュース、菓子などの製造を手掛ける「ハシェム・フード・アンド・ビバレッジ(Hashem Food and Beverage)」の6階建ての工場。

 火に包まれた工場前には、取り乱した様子の従業員の親族や避難した従業員が集まった。

 バングラデシュでは、工場や集合住宅で火災が相次いでおり、安全基準が疑問視されている。2019年2月には、薬品が違法に貯蔵されていたダッカのアパートで火災が起き、少なくとも70人が死亡した。

 火災発生から約24時間たった9日午後になっても、建物は燃え続けていた。

 警察は当初、死者は3人としていたが、消防士らが建物の上階を捜索し、逃げ遅れた被害者の遺体の収容を開始すると、その数は膨れ上がった。

 捜査官の一人は、負傷者の中には、短時間に火の手が回ったため、上の方の階から飛び降りた人もいると話した。

 当局は5階と6階の消火活動を行っている。工場の屋上にいた25人が救出された。

 避難した従業員の男性によると、火災が発生した際、工場には数十人いた。「3階の二つの非常階段の扉は閉まっていた。同僚は48人が中にいたと言っている。彼らがどうなったのかは分からない」と話した。(c)AFP