【7月9日 AFP】男子テニスのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は9日、東京五輪への参加を辞退した。大会が無観客で行われることが、決断の大きな理由になったという。

 キリオスはテニスの豪代表チーム11人の中に選ばれていたが、前週にはウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2021)を負傷棄権しており、すでに大会の参加は危ぶまれていた。以前には東京五輪の隔離措置に不満を訴えていたほか、ファンが客席にいないのであれば参加したくないとも話していた。

 26歳のキリオスはソーシャルメディアに、「空席のスタジアムでプレーするという考えは、自分には納得できない。これまでもずっとそうだ」とつづり、「母国を代表するために準備を整えている健康なオーストラリアのアスリートから、そのチャンスを奪うことは望んでいない」と説明した。

 感染が急拡大している新型コロナウイルスを抑制するべく、東京五輪は全会期を通じて緊急事態宣言下で行われることになり、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)は無観客での開催を発表していた。

 自身を観客からエネルギーを引き出すショーマンと称しているキリオスは、出場辞退は軽々しく決めたことではないとして、「五輪でオーストラリアを代表することは自分の夢だったし、この機会がもう二度と訪れないかもしれないことは分かっている。だけど、自分自身のことも分かっているんだ」と投稿した。

 現在世界ランキング60位に後退していながらも、テニス界のドル箱スターであるキリオスは、2016年には自身の振る舞いをめぐりオーストラリアオリンピック委員会(AOC)と対立した後、リオデジャネイロ五輪の出場を辞退した。(c)AFP