パッキャオがフィリピンで崇拝されている訳は、その寛大さと、貧困から抜け出し世界で最も偉大で裕福なボクサーの一人となった実績だ。

 ジェネラルサントスの中心街にあるジムの外で、数十人の地元民が彼の姿を待ち受ける。施しが目当ての人もいる。「この町の皆のアイドルです」と三輪タクシーの運転手メメ・ディプンダート(Meme Dipundato)さん(40)。「私はボクシングではなく、貧しい人を助けるパッキャオの行いが好きなんです」

 2010年に政界入りし、下院議員からよりステータスの高い上院議員になる中、パッキャオは死刑制度を支持したり同性愛のカップルを「動物以下」とさげすんだりして物議を醸している。

 パッキャオは大統領になったら手加減しないと約束する。手始めに、「数十万」の腐敗政治家を特設の巨大刑務所に送り込むという。「汚職で起きた問題がこの国に多すぎる。これでは経済成長や発展、改善もない」

 とりあえず今は、左利き同士のスペンス戦に集中しているという。今月に入って米ロサンゼルスへ向かい、ベテラントレーナーのフレディ・ローチ(Freddie Roach)氏と合流している。

 それまでは、長年パートナーを務めるボボイ・フェルナンデス(Buboy Fernandez)氏と地元のパックマン・ワイルドカード・ジムでボクシングとスパーリングをこなしていた。

「マニー(パッキャオ)が勝つと110パーセント信じている。まだスタミナがある」とフェルナンデス氏はAFPに語った。

 激戦の写真と共に、自制心と信仰の大切さを教える聖書の言葉がリングの上には掲げられている。

 自分の年齢と長かった不在について「2年近くも休養して良かった」とパッキャオは言い切る。

「またとてもハングリーだ。ファイトに向けて興奮している。20代初めの頃と同じ気分だ」 (c)AFP/Allison JACKSON