【7月7日 CNS】元値が9.9元(約170円)の枝豆チップスが1.7元(約29円)、インターネットで人気となっている推奨小売価格10.8元(約185円)のフルーツサワーが3.1元(約53円)…。消費期限が近い品物を特売するスーパー「好特売(Haotemai)」では、飲食品が驚く値段で売られている。

 中国では新型コロナウイルスの流行期に商品が在庫に滞留したことや、次々と登場する新製品、若者消費層のコスパ重視志向などを反映して、消費期限が迫った商品の特売ビジネスがにぎわいを見せている。フードロスを禁止する「反食品浪費法」が4月に可決されたことも追い風となっている。

 ディスカウントスーパーの大手、天津市(Tianjin)の「食恵邦」と南京市(Nanjing)の「小象生活」は今年に入り、エンゼル投資家から数千万元(約1億7144万円)の資金を調達。業界トップグループの好特売も8か月以内に4回の資金調達を完了した。起業家とホットマネーが結合し、特売ビジネスの経営基盤が強化されている。

 艾媒産業昇級研究センターによると、2020年の中国のスナック・軽食産業は3兆元(約51兆4305億円)を超える。その1%と計算しても、消費期限が近い食品の市場は300億元(約5143億円)超と巨大なものだ。

 北京市で消費期限が近い特売品スーパーを起業した趙麗(仮名)さんは「人気の理由はもちろん、低価格です」と話す。商品の消費期限が3分の1から半分を超えると、メーカーは在庫を放出する方法を探し始める。これが特売品の主な入手ルートとなる。

 ディスカウント業界の中でも、猛スピードで店舗を拡大しているのが小象生活だ。6月現在で約80店舗を経営しているが、「今年は150店舗を新規出店する予定」と創業者の粟海輝(Su Haihui)氏。2024年には1000店舗の実現を目指すという。

 粟氏は「海外の企業を見れば、ディスカウント業界の将来は『期限』ではなく『ルート』にある」と語る。最近の小象生活は中間業者を仲介せず、工場から直接仕入れすることで通常の20〜50%の価格で商品を販売している。日本の「ドン・キホーテ(Don Quijote)」は売れ残り商品を扱う小店舗から始まり、独自の商品ルートを構築して全国的なディスカウントチェーンに発展した。「米国版100円ショップ」とも言われるダラー・ゼネラル(Dollar General)は商品の80%が5ドル(約554円)以下で、コロナ禍でも好調を維持している。

 粟氏はこうした企業を今後のモデルとしており、「長期的に見て、ディスカウント業界はますます競争が激しくなる。しっかりブランドを確立して拡大することができるかどうかが重要だ。そのためには資本力は関係なく、消費者が満足する商品を提供するため、サプライチェーンの能力にある」と強調する。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News