【7月3日 AFP】大麻の使用で東京五輪の陸上女子100メートルへの出場を禁止された米国のシャカリ・リチャードソン(Sha'Carri Richardson)について、同国の元五輪王者マイケル・ジョンソン(Michael Johnson)氏をはじめ、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)やプロバスケットボール(NBA)のスター選手から擁護の声が上がった。

 米国反ドーピング機関(USADA)は2日、世界反ドーピング機関(WADA)の禁止薬物に指定されているマリフアナ(乾燥大麻)に検査で陽性反応を示したとして、リチャードソンに1か月の資格停止処分を言い渡した。

 今季は100メートルで歴代6位のタイムをたたき出しながら、五輪の同種目で走ることはできなくなったリチャードソンは、大麻使用の理由について、五輪出場を目指す上での重圧や実の母親の死を知らされた「心痛」に対処するためだったと説明している。

 陸上男子400メートルと200メートルで、世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)と五輪の金メダルに輝くジョンソン氏は、「なぜマリフアナが禁止されているのか分からない。正当な理由があるのかもしれないし、そうでないかもしれない」とツイート。

「親を亡くすことがどんな気持ちなのか理解できる。言葉にはできないほどの苦痛だ! 自分は(リチャードソンと)同じ出身だ。厳しい場所だ! 両方の理由を理解している人でなければ、彼女やこの処分をばかげていると呼ぶのはやめたほうがいい」と続けた。

 NFLのカンザスシティ・チーフス(Kansas City Chiefs)でプレーする司令塔で、2020年のスーパーボウル(Super Bowl LIV)で最優秀選手(MVP)に選出されたQBパトリック・マホームズ(Patrick Mahomes)は、「あまりにもひどい…、彼女を走らせてやれ!」と訴えた。

 シアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)時代にスーパーボウル制覇を経験しているCBリチャード・シャーマン(Richard Sherman)も、リチャードソンを擁護しつつ、個人的な喪失に対処した同選手に批判的な社会へ疑問を投げ掛けた。

 また、元NBAのスター選手であるドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)氏は、米国の大半で合法となっているマリフアナを禁止薬物に指定した側の人に対し、「ルールを作る側の人の大多数は(大麻の)使用者で、おそらくはTHC(テトラヒドロカンナビノール、大麻に含まれる精神活性物質)会社に投資している」と指摘し、「こういうお遊びはやめよう」と苦言を呈した。(c)AFP