【7月2日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2021)は1日、男子シングルス2回戦が行われ、お騒がせ選手のニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は 7-6 (9-7)、6-4、6-4でジャンルカ・マーゲル(Gianluca Mager、イタリア)を一蹴し、3回戦に駒を進めた。

 次戦は大会第16シードのフェリックス・オジェ・アリアシム(Felix Auger-Aliassime、カナダ)と対戦するキリオスは、この日の試合中にさまざまなファンからプレーのヒントをもらったり、サッカーイングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)に関して話をしたりする場面があった。

 試合後にはロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)をはじめノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)とラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)を「神」と称賛する一方で、テニス界には自分のように向こう見ずであまのじゃくな選手も必要だとの持論を展開した。

「誰もがフェデラーやジョコビッチあるいはナダルのようになれるわけじゃない。彼らは多くの人々に刺激を与えられる10年に1度のアスリートだ。とにかく神のような存在であり、自分もそういう目で見ている」と切り出すと、「だけど、人々が気さくに話せる選手も必要だと思う。テニスファン以外の観客を呼べるような存在がね」と強調した。

「自分はそういう選手の一人だと感じている。俺はニック・キリオスだ。自分がどういう人間か分かっている」

 キリオスという存在でいることは、ファンだけでなく他の選手や審判を団結させる一方で分断もさせるなど、気苦労も絶えない。ナダルとジョコビッチからは以前、テニスとその慣習へのリスペクトが欠けていると批判されたことがあった。

 反対にキリオスは、ナダルについて「めちゃくちゃぷりぷりしている」と表現したり、ジョコビッチに対してはコロナ禍での振る舞いについて「愚か」と言い放ったりしている。

 キリオスが話題を呼ぶ選手であることは間違いないものの、そのキャリアは罰金や出場停止処分などが目立っており、ニュースの内容は常に褒められるようなものとはいえない。しかし、テニス界のドル箱スターである同選手は、満員となった3番コートでの試合後に「ファンはこの競技にはショーの要素もあると知っている。結局のところ、エンターテインメントを求めているんだ」と強調した。

 さらに「トッテナム・ホットスパーに関して、まじめな質問を大声で聞いてきたカップルもいて、それには少しばかり戸惑った」と明かすと、「すごい騒ぎさ。最前列の人々なんて、文字通りコーチングしてきたり、口出ししてきたりするんだ。いいぞ、ナイスボール、最高のリターンだ、次はうまくいく、良い深さだとかね。とにかく、お前らはここでいったい何やってんだという感じだよ」と語った。(c)AFP