【6月30日 AFP】インド北東部アッサム(Assam)州で、かつては絶滅したと思われていた世界最小のイノシシ「コビトイノシシ(学名:Porcula salvania)」12匹が、保護事業の一環で野生に戻された。

 コビトイノシシは背の高い草が生える湿地に生息し、かつてはインドやネパール、ブータンにまたがるヒマラヤ(Himalaya)山脈の丘陵地帯の平原で見られた。

 自然保護活動家らによると、コビトイノシシの個体数は1960年代に減少し、1971年にアッサム州で再発見されるまで絶滅したと考えられていた。1993年までには、ブータンと国境を接するアッサム州のマナス国立公園(Manas National Park)の一部地域で見られるようになった。

 1996年には、州政府や中央政府など複数の機関によるコビトイノシシ飼育下繁殖事業(Pygmy Hog Conservation Programme)が開始した。

 同事業に参加する科学者、ドリティマン・ダス(Dhritiman Das)氏は26日、AFPに対し、「今回は、雄7匹、雌5匹の計12匹を野生に戻した」と語った。昨年は14匹を野生に返しており、これまでに今回の分を含め計142匹を野生に戻したという。

 コビトイノシシ飼育下繁殖事業では現在、約70匹を飼育しており、さらに繁殖させて野生に戻す計画だ。

 自然保護活動家らは、野生のコビトイノシシの個体数は250匹に満たないと推定している。

 コビトイノシシの生息地は、定住や農耕といった人間の活動により環境が破壊され、失われた。また、生息地の減少は不適切な管理も原因の一つだと専門家は指摘する。(c)AFP