【6月29日 AFP】ツール・ド・フランス(2021 Tour de France)は28日、第3ステージ(ロリアンからポンティビー、182.9キロメートル)が行われ、優勝候補や有力スプリンターが相次いで落車に見舞われる波乱の展開となる中、アルペシン・フェニックス(Alpecin-Fenix)のティム・メルリエ(Tim Merlier、ベルギー)がステージ優勝を果たした。

 雨でぬれて滑りやすくなった曲がりくねった狭いコースではクラッシュが続き、イネオス・グレナディアーズ(Ineos Grenadiers)のゲラント・トーマス(Geraint Thomas、英国)が肩の脱臼に見舞われ、昨年大会で総合2位に入ったチーム・ユンボ・ビスマ(Team Jumbo Visma)のプリモシュ・ログリッチ(Primoz Roglic、スロベニア)も貴重な時間を失い、ジャージーが破れた状態でゴールを切るなど、散々な一日となった。

 病院に搬送されたロット・ソウダル(Lotto Soudal)のカレブ・ユアン(Caleb Ewan、オーストラリア)は、鎖骨の骨折により棄権を余儀なくされ、ボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)のペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)は切り傷と打撲を負ったものの、すぐさまレースに戻った。

 今大会では二つの集団落車によって第1ステージに大きな影響が出ており、仏警察は事故の原因をつくった観客の行方を追うと約束していたが、次の曲がり角には必ずと言っていいほど劇的な展開が待ち受けていた。

 2018年大会の王者トーマスは、海岸通りで集中力を失って転倒。体を地面に強く打ち付けたため肩を脱臼したが、チームメート3人の協力もあってレースに戻った。

 残り10キロ地点で腰から転倒したログリッチは、動揺しながらもチームメートの手を借りてタイムロスを最小限に抑えた。

 最悪の落車が発生したのは最後の直線で、時速80キロ以上で走行していたユアンがメルリエの後輪に接触すると、サガンを道連れにする形で倒れ、両者はアスファルトの上を十数メートル滑っていった。

 UTE(UAE TEAM EMIRATES)のタデイ・ポガチャル(Tadej Pogacar、スロベニア)とトーマスはメルリエから26秒遅れでのゴールとなり、自身のツールを終わらせないために勇ましい立て直しを見せた擦り傷だらけのログリッチは、同1分21秒遅れでのフィニッシュとなった。

 メルリエのチームメートであるマチュー・ファン・デル・プール(Mathieu Van der Poel、オランダ)が総合首位の座をキープし、第1ステージを制したドゥクーニンク・クイックステップ(Deceuninck Quick Step)のジュリアン・アラフィリップ(Julian Alaphilippe、フランス)が8秒差で同2位につけている。

 また、イネオスのリチャル・カラパス(Richard Carapaz、エクアドル)とユンボ・ビスマのワウト・ファン・アールト(Wout van Aert、ベルギー)は首位と31秒差で続いている。(c)AFP/Damian MCCALL