【6月28日 AFP】ミュージカル界の巨匠アンドリュー・ロイド・ウェバー(Andrew Lloyd-Webber)氏が、劇場や映画館の観客数制限の撤廃を目指し、英政府に大規模イベントでの新型コロナウイルス感染調査のデータ開示を求める訴訟に加わったことが分かった。

 原告団は、英エンターテインメント業界の大物関係者らや音楽イベント業界団体「LIVE」で構成されている。

 英国では政府の試験プログラムの下、サッカーFAカップ(FA Cup)の決勝戦や国内最大の音楽賞「ブリット・アワード(BRIT Awards)」の授賞式などの大型イベントで、事前の検査で陰性だった観客がソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の対象外とされた。

 また、ロンドンのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われるサッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)の準決勝2試合と決勝も同様に、「イベント研究プログラム(Events Research Programme)」の一環で、収容定員の75%に相当する6万人の観客を入れることが認められた。

 一方でボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相は、感染力の強い変異株「デルタ株」の感染が拡大していることから、イングランドで当初今月21日に予定していた感染対策の規制緩和を来月19日に延期した。

 現行の規制では、劇場や映画館は営業できるが、観客数は収容定員の半分以下と定められているため、ほとんどの興行で採算が取れず、厳しい運営状況が続いている。

 ロイド・ウェバー氏は24日、「これほど不公平に私たちの業界を締め付ける根拠とされているデータを確認しなければならない」と主張。「英政府の対応は、注目度の高いスポーツイベントをえり好みして許可を出しながら、劇場や音楽事業者には崖から飛び降りろと強要しているようなものだ」と非難した。

 ロイド・ウェバー氏はミュージカル「キャッツ(Cats)」や「エビータ(Evita)」など、英ウエストエンド(West End)や米ブロードウェー(Broadway)でおなじみのヒット作の作曲で知られる。同氏は6年ぶりの新作「シンデレラ(Cinderella)」について今月初め、政府が規制緩和を延期した場合も「何が何でも」開演する意向を明かし、逮捕されてもかまわないと発言していた。(c)AFP